03会社

障害者雇用の農園で、何人が働いている?

国が把握した、障害のある人が働く農園は153か所です(令和7年(2025年)10月末時点)。農園やサテライトオフィスなどで働く障害のある人は11,141人以上と把握されています。農園だけで働く人の数は、国の資料にありません。

このサイトは、農園型の働き方が良いか悪いかを決めていません。運営会社の名前や、会社の宣伝の数字、働く人の声も載せていません。国の資料で言えることと、国の資料にないことを分けて書きます。

更新日 2026.10.27 データの時点 令和5年(2023年)3月末時点から令和7年(2025年)10月末時点(厚生労働省の実態把握)
編集・監修 徳永崇志(株式会社イチドキリ 代表取締役。就労継続支援B型事業所 ぽちぽちの道を運営)

01農園型とは

農園型の障害者雇用とは?

会社が障害のある人を雇い、別の会社(運営事業者)が用意した農園で、運営事業者が用意した仕事をしてもらう形です。

厚生労働省は、障害のある人が働く場所(農園やサテライトオフィスなど)と仕事を用意して、雇う会社にサービスとして提供する事業を「いわゆる障害者雇用ビジネス」と呼んで、実態を調べています。このページでは、そのうち働く場所が農園のものを「農園型」と書きます。

図1 農園型で、だれがだれを雇い、だれが場所と仕事を用意するか
  1. 雇う会社(利用企業)
    障害のある人と雇用契約を結ぶ雇い主です。運営事業者からサービスを受けます。
  2. 運営事業者
    農園などの働く場所と、栽培などの仕事を用意します。人を選んで雇う会社に紹介したり、送迎や健康チェックをしたりする例もあります。
  3. 障害のある人
    雇う会社の社員として、運営事業者の農園に通って働きます。

出典: 厚生労働省の実態把握(出典1)。

02人数と場所

何人が、何か所で働いている?

国が把握した働く場所は221か所で、そのうち農園が153か所です(令和7年(2025年)10月末時点)。令和5年(2023年)3月末時点の91か所から増えています。

表1 国が把握した障害者雇用ビジネスの数の移り変わり(全国)
時点運営事業者働く場所うち農園利用企業(延べ)働く障害のある人
令和5年(2023年)3月末時点23事業者125か所91か所1,081社以上6,568人以上
令和5年(2023年)11月末時点32事業者152か所110か所1,212社以上7,371人以上
令和6年(2024年)11月末時点39事業者186か所132か所1,583社以上9,355人以上
令和7年(2025年)10月末時点46事業者221か所153か所1,802社以上11,141人以上

どの数も、届け出の数ではありません。労働局が事業者から聞き取ったり、事業者のサイトを見たりして、把握できたものを積み上げて数えています。国の資料は、実際の数はこれを上回る見込みが高いと書いています。

働く人の数に「以上」が付くのは、事業者のサイトに「○○人以上」と書かれたものが多く、つかめない場所もあるためです。利用企業の数に「以上」が付くのは、利用企業の数がつかめていない働く場所もあるためです。利用企業は働く場所ごとに足した延べの数で、同じ会社がいくつもの場所を使うと重ねて数えています。社名まで分かった利用企業は363社でした(令和7年(2025年)10月末時点。いくつもの事業者を使う会社は重ねて数えています)。

働く場所がいちばん多い事業者は58か所を運営し、利用企業がいちばん多い事業者は700社以上と把握されています(令和7年(2025年)10月末時点)。障害の種類別や都道府県別の内わけは、国の資料にありません。

働く障害のある人の数は、民間企業で雇われている障害のある人全体の数とは、時点と数え方がそろわないので、割合にしていません。

出典: 厚生労働省の実態把握(出典1・2・3・4)。

03仕事

農園型では、どんな仕事をする?

国が把握した例では、運営事業者が選んだ仕事をすることが多く、仕事の例として野菜の栽培や、ハーブの栽培と加工が挙がっています。

  • 野菜の栽培、ハーブの栽培と加工
  • 運営事業者から頼まれる軽作業
  • 運営事業者が開く研修を受けること

仕事の例は、令和5年(2023年)3月末時点までに国が把握したものです。できた野菜やハーブティーは、社員に配るなど福利厚生に使ったり、寄付したりする例があり、売って収益を得ることはほとんど見込まれていない、と国の資料は書いています。

国の統計で、雇われている障害のある人のうち農林漁業の職業の人の割合は、障害の種類によって0.4%から1.1%です(令和5年度(2023年度))。ハローワークを通じた就職では、農林漁業は2.6%でした(令和7年度(2025年度))。どちらも農園型で働く人だけの数ではありません。

表2 雇われている障害のある人のうち、農林漁業の職業の人の割合(障害の種類別・全国・令和5年度(2023年度))
障害の種類割合
身体障害0.4%
知的障害1.0%
精神障害1.1%
発達障害0.5%

出典: 厚生労働省の実態把握(出典1)、障害者雇用実態調査(出典7)、障害者の職業紹介状況(出典8)。

04時間と労働条件

働く時間や、雇用の形・最低賃金は?

労働時間は、雇う会社が働く場所の営業日や送迎バスの時間に合わせて決めている例があります。雇用契約なので、最低賃金がかかります(下回る額にできるのは、都道府県労働局長の許可がある場合だけです)。

国の資料(令和5年(2023年)3月末時点までの把握)が挙げた例は、次のとおりです。

  • 運営事業者が、集合場所までの送迎や健康チェックをしている。
  • 運営事業者が、区画ごとの人数や、障害のある人の人数に応じて管理者を置くことを条件にしている。
  • 雇う会社が自社の管理者を置かず、メールやオンラインで勤怠の管理や指示をしている。
  • 障害のある人が、雇う会社から運営事業者へ在籍型出向の形で働いている。
  • 同じ農園のほかの会社と給料に差が出ないよう、運営事業者が助言している。

同じ雇い主との有期の契約が通算で5年をこえた人は、無期の契約への転換を申し込めます。国の資料は、毎年、同じ働く場所のほかの会社の人と入れ替えればこのルールを避けられる、と説明する資料を配っている運営事業者があったと書き、こうした雇止めは無効とされる場合があるとも注意しています。

最低賃金は、事業場がある都道府県の額がかかります。サテライトオフィスなどで、規模が小さく独立した事業場といえない場合は、そこを受け持つ支社・営業所や本社の所在地の額がかかる、と国の資料は注意しています。農園の場合の扱いは、国の資料に書かれていません。

障害者雇用の正社員・契約社員・パート 給料と月額の計算例

出典: 厚生労働省の実態把握(出典1)、労働契約法(出典9)。

05「批判」と言われる点

農園型が「批判」と言われる点は?

国の資料も懸念を挙げています。国会の附帯決議は「障害者雇用代行ビジネス」という言葉を使い、雇用率のためだけに使われないよう、会社への周知や指導を検討することを政府に求めました。

表3 国の資料が挙げた懸念と、国の資料にないこと
言われる点国の資料の書き方国の資料にないこと
雇用率のためだけの利用か法定雇用率を満たすことだけが目的の利用になっていないか、働く人が力を出す機会があるかを懸念しています。雇用率のためだけに使っている会社の数
仕事を雇う会社が選んでいるか仕事の多くを運営事業者が選んでいて、雇う会社が仕事を作らないと、やりがいのある仕事や、仕事の幅を広げる機会が少なくなると懸念しています。雇う会社が自分で仕事を選んでいる割合
採用を雇う会社がしているか求人の中身や選考に雇う会社が関わらないと、本人の適性や必要な配慮を確かめきれないと懸念しています。採用の進め方ごとの会社の数
仕事の量と配置仕事が限られ、一人ひとりに合った仕事の量や配置になっているか、入社のあとに配置が変わる機会が少ないのではないかとしています。一人あたりの仕事の量、配置が変わった人の数
雇用の形と労働条件雇い主が自分で労働条件を決めているか、在籍型出向が雇用率のためだけの形の上の雇用に使われていないか、契約の入れ替えが無期の契約への転換を避ける手段になっていないかを懸念しています。契約の期間、更新、無期の契約に変わった人の数
雇用の管理と配慮雇い主が雇用の管理に責任を持ち、一人ひとりの障害に応じた配慮を自分で把握しているかを懸念しています。一人ひとりが受けている配慮の中身

表の懸念は、令和5年(2023年)3月末時点までの把握をもとにした国の資料からです。国の資料は、懸念だけでなく、農園から雇う会社の本社の人事の仕事に移った例や、社内の別の仕事への配置を考えている会社があることも書いています。国の研究会の報告書は、同じ課題は運営事業者を使わない障害者雇用でも起こりうると注意しています。

出典: 厚生労働省の実態把握(出典1)、研究会の報告書(出典5)、附帯決議(出典6)。

06働く前に

農園型で働く前に、確かめられることは?

求人票と面接で、雇い主がどの会社か、契約の期間と更新、給料、仕事の中身を確かめられます。

  • 雇い主はどの会社か。働く場所を運営する会社と、雇う会社は別です。
  • 契約の期間と、更新があるか。
  • 時給か月給と、週の時間。最低賃金を下回っていないか。
  • 仕事の中身と、困ったときに相談できる人がだれか(雇う会社の人か、運営事業者の人か)。

求人を見る前・見た後のシート 特例子会社の一覧

07国の動き

国は、農園型をどう扱おうとしている?

農園型を含む障害者雇用ビジネス全体について、法律で禁止はしていません。運営事業者や利用する会社に届け出や報告を求める仕組みと、ガイドラインを作ることが検討されています。

障害者総合支援法などを改正したときの国会の附帯決議(衆議院厚生労働委員会 令和4年11月18日/参議院厚生労働委員会 令和4年12月8日)は、雇用率を満たすためだけに「障害者雇用代行ビジネス」を使わないよう、会社に知らせて指導することを検討するよう政府に求めました。

厚生労働省の研究会の報告書(令和8年(2026年)2月6日)は、課題を次のようにまとめました。仕事と働く場所が会社から離れて雇い主の責任が薄くなること、仕事が決まりきって力を伸ばしにくいこと、成果が会社の事業に生かされず働く意欲を下げることです。大部分は明らかな法令違反ではなく、禁止には法制上の課題があるとして、利用する会社に障害者雇用状況の報告で働く場所や仕事の中身を報告してもらう仕組みと、ガイドラインを検討するとしました。

そのあとの障害者雇用分科会(2026年8月31日)では、この事業を法律で定め、運営事業者に届け出を、利用する会社に報告を求める案などが論点として出されています。対象は農園に限らず、サテライトオフィスなどの形も含みます。このページの確認日の時点で、結論は出ていません。

出典: 附帯決議(出典6)、研究会の報告書(出典5)、障害者雇用分科会の資料(出典4)。

08よくある質問

よく聞かれることは?

人数、給料、国の資料にないこと、禁止されているかに答えます。

Q農園型で働く人は、どれくらいいる?

国が把握した、障害者雇用ビジネスの働く場所で働く障害のある人は11,141人以上です(令和7年(2025年)10月末時点)。働く場所は221か所で、そのうち農園は153か所です。農園だけで働く人の数は、国の資料にありません。把握できたものを積み上げた数で、実際の数はこれより多い可能性が高いと国の資料は書いています。

Q農園型の給料は、最低賃金より低くできる?

雇用契約で働くので、最低賃金がかかります。下回る額にできるのは、都道府県労働局長の許可がある場合だけです。どの都道府県の額がかかるかは事業場によって違い、サテライトオフィスなどで独立した事業場といえない場合は、本社や支社の所在地の額がかかると国の資料は注意しています。 給料と月額の計算例

Q農園型で働く人の平均の給料や、続けて働く年数は分かる?

国の資料にはありません。国の資料が数で出しているのは、事業者、働く場所、利用企業、働く人の数までです。障害の種類別や都道府県別の内わけもありません。

Q農園型は禁止されている?

法律で禁止されてはいません。国の研究会の報告書は、大部分は明らかな法令違反ではなく、禁止には法制上の課題があるとしたうえで、利用する会社に報告を求める仕組みやガイドラインを検討するよう書いています。不適切な例には、労働局が改善の指導をしています。 国は、農園型をどう扱おうとしている?

出典: 厚生労働省の実態把握(出典1・4)、研究会の報告書(出典5)。

09出典と確認日

このページの出典と確認日

厚生労働省の資料、国会の附帯決議、国の調査と統計から書いています。

番号出典確認日使った節
1厚生労働省『いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について(労働政策審議会 障害者雇用分科会 第128回 参考資料3)』2026年10月27日01、02、03、04、05、08
2厚生労働省『いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について(労働政策審議会 障害者雇用分科会 第130回 参考資料4)』2026年10月27日02
3厚生労働省『いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について(労働政策審議会 障害者雇用分科会 第133回 参考資料4)』2026年10月27日02
4厚生労働省『障害者雇用の「質」について ・いわゆる「障害者雇用ビジネス」への対応について(労働政策審議会 障害者雇用分科会 第141回 資料1 事務局説明資料)』2026年10月27日冒頭、02、07、08
5厚生労働省(今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会)『今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会 報告書(本文)(労働政策審議会 障害者雇用分科会 第137回 資料1-1として提出)』2026年10月27日07、08
6参議院『障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案(第210回国会 閣法第17号)関連資料(提案理由、各院委員長報告、附帯決議)』2026年10月27日05、07
7厚生労働省『令和5年度 障害者雇用実態調査』2026年10月21日03
8厚生労働省『令和7年度 障害者の職業紹介状況』2026年10月22日03
9『労働契約法 第18条』2026年10月21日04

更新履歴 2026.10.27 公開しました。国が新しい把握の数を出したら、確かめ直して直します。記載の誤りは訂正窓口へお知らせください。

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