02時間とお金

クローズ就労とオープン就労は、何がちがう?

一般の求人で、障害を会社に伝えずに就職した人の1年後の定着率は30.8%でした。障害を伝えて就職した人や、障害者求人で就職した人より低くなっています(JEEDの調査)。

障害を伝えずに働くことをクローズ就労、伝えて働くことをオープン就労と呼びます。どちらがよいとは書きません。ちがいが出る理由と、会社が障害を確かめるときの国の決まりを見ます。

更新日 2026.10.30 データの時点 JEEDの調査 2017年公表、国の指針とガイドライン(現行)
編集・監修 徳永崇志(株式会社イチドキリ 代表取締役。就労継続支援B型事業所 ぽちぽちの道を運営)

01働き方の呼び方

オープン就労・クローズ就労・障害者雇用枠は、どうちがう?

応募する求人と、会社が障害を知っているかどうかでちがいます。

オープン就労とクローズ就労は、法律の言葉ではありません。障害者求人は、障害のある人を対象にした求人で、障害者雇用枠とも呼ばれます。応募するときに、障害を会社に伝えることになります。

表1 働き方の呼び方と、応募する求人
働き方よく使われる呼び方応募する求人会社は障害を知っているか
障害者求人で働くオープン就労、障害者雇用枠障害のある人を対象にした求人知っている
一般の求人で、障害を伝えて働くオープン就労障害の有無を問わない求人知っている
一般の求人で、障害を伝えずに働くクローズ就労障害の有無を問わない求人知らない

障害を伝えるかどうかと、病名や症状をどこまで伝えるかは、別に決められます。働く前に考えておくことは、ぽちぽちの道のコラム(オープン就労とクローズ就労の違い)にあります。

02求人の種類と定着率

求人の種類で、続けて働く人の割合はちがう?

ちがいます。1年後の定着率は、障害者求人で就職した人が70.4%でいちばん高くなっています。一般の求人で障害を伝えなかった人は30.8%です。

図1 就職して1年後の定着率(求人の種類別・2017年公表)
障害者求人70.4%一般・伝えた49.9%一般・伝えなかった30.8%0%50%100%

定着率は、就職した会社で、その時点も働いていた人の割合です。調査の対象は、ハローワークの紹介で就職した障害のある人です。就職して3か月後の時点でも、同じ順になっています。

表2 求人の種類ごとの定着率と、集計した人数(全国・2017年公表)
求人の種類よく使われる呼び方3か月後1年後集計した人数
障害者求人(障害者雇用枠)オープン就労86.9%70.4%1,923人
一般の求人で障害を伝えたオープン就労69.3%49.9%747人
一般の求人で障害を伝えなかったクローズ就労52.2%30.8%603人

この差を、そのまま「伝えたかどうか」の差と読むことはできません。求人の種類ごとに、障害の種類や仕事の顔ぶれがちがうからです。一般の求人で伝えた人と伝えなかった人の差は19.1ポイントあります。ただ報告書は、ほかの条件をそろえた分析では、はっきりした差は見られなかったとしています。

障害の種類ごとの定着率

出典: JEEDの調査(出典1)。就労継続支援A型への就職は、このページの表に入れていません。

03伝えないと使いにくいもの

障害を伝えないと、何が使いにくくなる?

障害を伝えることが前提の支援制度と、職場の合理的配慮です。

障害者トライアル雇用やジョブコーチの支援、会社への助成金は、障害を伝えることが前提の制度です。報告書は、障害を伝えない場合、これらを使うのは難しいとしています。一般の求人で就職し、こうした支援制度を使った人の1年後の定着率は65.6%でした。使わなかった人より27.9ポイント高くなっています。

合理的配慮は、会社の義務です。ただし国の指針には、例外があります。会社が必要な注意を払っても、働く人の障害を知ることができなかった場合は、配慮をしなかった責任を問われません。会社が障害者雇用率に数えるときは、障害者手帳などで確かめます。障害を伝えていない人は、雇用率には数えられません。

トライアル雇用と実習 職場の合理的配慮の例

出典: JEEDの調査(出典1)、厚生労働省『合理的配慮指針(平成27年厚生労働省告示第117号)』(出典2)、厚生労働省『プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン』(出典3)。

04会社が障害を確かめるとき

会社は、障害があるかを本人に聞いてよい?

聞き方に決まりがあります。採用の後は、働く人全員への一斉の呼びかけが原則です。

厚生労働省のガイドラインは、会社が障害者雇用率の報告などのために、働く人の障害を確かめるときの手順を決めています。職場で知られるかどうかのすべてを決めるものではありませんが、会社が守る線は分かります。

ガイドラインが示していること

  • 採用面接などで障害の有無を聞くのは、仕事のうえで欠かせない場合に限られ、そのときは目的を示して聞く
  • 採用の後に確かめるときは、メールや社内報などで、働く人全員に同じ方法で呼びかけるのが原則
  • 障害のある人がいると思われる部署にだけ配るのは、不適切な例
  • 個人を名指しして聞けるのは、本人が支援の制度を使いたいと申し出たときなど
  • 上司の印象や職場のうわさ、健康診断の結果、健康保険の診療の記録をもとに聞くのは、不適切な例
  • 本人の意思に反して、障害の申告や手帳の取得を強いてはならない
  • 申告や手帳の取得を断ったことを理由に、解雇などの不利益な扱いをしてはならない

呼びかけへの回答は、業務命令ではないことを示すのが望ましいとされています。会社に伝えた障害の情報は、雇用率の報告などの目的に使うことを本人に示し、同意を得て扱います。

出典: 厚生労働省『プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン』(出典3)。

05働き始めてから伝える

働き始めてから、障害を伝えることはできる?

できます。会社からの確認を待たずに、自分から申し出られます。

国の指針では、会社は、働く人が障害のある人だと分かったときに、遅れずに、職場で困っている事情があるかを確かめます。障害のある人は、その確認を待たずに、自分から申し出ることができます。どんな配慮がほしいかを具体的に言えないときは、困っている事情を伝えるだけでよいとされています。

そのあと、会社と本人で、どんな配慮にするかを話し合います。配慮の例は、会社の採用ページに書かれたものを種類ごとにまとめています。

職場の合理的配慮の例

出典: 厚生労働省『合理的配慮指針(平成27年厚生労働省告示第117号)』(出典2)。

06よくある質問

よく聞かれることは?

続きやすさ、違法かどうか、会社に知られるか、あとから伝えること、枠のちがいに答えます。

Qクローズ就労とオープン就労は、どちらが続きやすい?

JEEDの調査の1年後の定着率です。障害者求人で就職した人が70.4%、一般の求人で障害を伝えた人が49.9%、伝えなかった人が30.8%でした。ただし、障害の種類や仕事の顔ぶれもちがうため、この差がすべて伝えたかどうかで生まれたとは言えません。どちらを選ぶかは、本人が決めます。 求人の種類ごとの定着率

Qクローズ就労は違法?

このサイトは、法律にあたるかどうかの判断はしません。国の決まりでは、会社が採用面接などで障害の有無を聞けるのは、仕事のうえで欠かせない場合に限られます。そのときは、目的を示して聞くことになっています。迷うときは、ハローワークの障害のある人の専門の窓口や、支援機関に相談します。

Qクローズで働くと、会社にバレる?

このサイトには、知られるかどうかを示す値はありません。国のガイドラインでは、会社が雇用率の報告のために障害を確かめるときは、働く人全員への一斉の呼びかけが原則です。上司の印象や職場のうわさ、健康診断の結果をもとに、個人を名指しして聞くことは、不適切な例に挙げられています。本人の意思に反して、障害の申告や手帳の取得を強いてはならないことも決まっています。 会社が障害を確かめるときの決まり

Q働き始めてから、障害を伝えてもいい?

伝えられます。国の指針では、障害のある人は、会社からの確認を待たずに、職場で困っている事情を自分から申し出ることができます。会社は、障害のある人だと分かったときに、困っている事情があるかを確かめることになっています。 職場の合理的配慮の例

Q障害者雇用枠と一般枠は、何がちがう?

障害者雇用枠は、障害のある人を対象にした求人(障害者求人)です。応募するときに、障害を会社に伝えることになります。一般枠は、障害の有無を問わない求人で、障害を伝えるかどうかは本人が決めます。 障害者雇用(障害者雇用枠)とは

Q障害者雇用から一般雇用に移る人は、どれくらいいる?

国の統計に、その値はありません。ハローワークの職業紹介状況は、障害のある人が就職した件数を数える統計で、仕事を変えた前後の求人の種類は分けていません。

出典: JEEDの調査(出典1)、厚生労働省『合理的配慮指針(平成27年厚生労働省告示第117号)』(出典2)、厚生労働省『プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン』(出典3)。

07出典と確認日

このページの出典と確認日

公的機関の調査と、国の指針・ガイドラインから書いています。

更新履歴 2026.10.30 公開しました。新しい調査や指針が出たら、確かめ直して直します。記載の誤りは訂正窓口へお知らせください。

あわせて読む